『痛い』同様、意外な所から発掘したのでUP。
当方のエンカーとロールの始まりの話。
地味にスーパーアドベンチャーにリンクしてるのが……(汗)。
ジイさんの命令で町へ買出し。
バトルフォームでない限り、見た目は殆ど人間の子供と同じ姿の『俺』。
だが『俺』と『人間』は違う。
俺はあくまで『ロボット』だから。
目当てのものを買い揃え、帰路に着く。
町の雑踏は俺のセンサーでは感度が良すぎてかなりやかましい。
…と。
その雑音に紛れて不穏な『音』を俺のセンサーが感知した。
「何だ…?」
そう思ったよりも早く。
俺の身体は空を舞っていた―――何者かから放たれたエネルギーブリッツをかわす為に。
「何だ一体!?」
エネルギーブリッツの組成を今の1瞬から得たデータからスキャンする。
……ジイさんの作ったロボットのものではない事が判明し、少し安堵する。
だがその安堵もつかの間。
先ほどかわしたエネルギーブリッツはそのまま直進し、その先にあったビルに激突。
ハデな爆音と共にビルが崩れ落ちはじめる。
その下には…金髪の女!!
「ちぃッ!!」
「きゃあああああーーー!!」
やむなく足のブースターを全開にして、一気にその女に突っ込む。
……間一髪、転がる様にして瓦礫の巻き添えは回避した。
突っ込む瞬間分かったが、この金髪の女もロボットだった。
……しかもあまりかかわりあいたくないロボットだ。
ホッとする間もなく辺りを見回す。
今のでどうやらかなりの数の通行人にケガ人が出ている様だ。
このまま放置するわけにもいかない。
「おい、お前」
「え」
「ケガ人の避難位、出来るよな。俺はあのロボットを追う」
「あ、ちょっと!!」
女を置き去りにして俺はエネルギーブリッツを撃ち出した方へ向かった。
女の事はメモリから該当データが1件ヒットされた。
『DRN.002』。
これ以上かかわるとジイさんにどやされる。
厄日だ。今日は。
程なくエネルギーブリッツを撃ち出した主は発見できた。
どうやら公園の花畑を整備する庭園作業ロボットらしい。
バグでも起きたか。
「そういやあ、ジイさんが言ってたっけな。最近地中から奇妙な電磁波が時折発せられてて、それで計器がよく狂うって」
地表が全て、人口の物で覆われ整備された今の世の中において、土に直に触れる庭園作業ロボットのコイツは俺達よりもその電磁波を受けやすい状況にあったというワケか。ハッ。
「大人しくメンテされるっていうのは無理そーだな……」
ロボットポリスのパトカーのサイレンの音をセンサーがキャッチする……どうやら破壊命令を携えている様だ。
ヤツらが来ると面倒だ。
だったら、俺のする事は1つ。
「お前にゃー恨みはねェ…とは言えねーけどナ。この騒ぎの落し前は、キッチリ付けさせてもらうぜ!!」
腰のバリヤードスピアを伸ばし、前で1回転させたその1瞬で俺はバトルフォームにチェンジした。
「RKN.01:ENKER…Program Stated!!」
*******************
ハデな爆音と共に、その作業ロボットはその動きを止めた―――未来永劫―――。
即スキャン。
…完全にその機能を停止した事を確認し、そこで俺はヘルメットを外して一息ついた。
「意外とあっけなかったな」
当然か。
いくらバグで暴走しているとは言え、所詮作業用ロボット。
ある目的のためだけに、戦闘用として生み出されたこの俺に敵うのかと聞かれれば、それは万どころか億に1つもありえない話だ。
…拍手が聞こえる。指笛を鳴らすものもいる。
やれやれ、暇かつ物好きなギャラリーが出来てやがる。これ以上ここにいると本気で面倒になりそうだ。ロボットポリスも来そうだし、サッサと引き上げるか。
…と。
「お疲れ様。ハイ、あなたの荷物」
……。
さっきケガ人の避難を頼んだ『関わりたくない女ロボット』に、俺の荷物を手渡される。
破壊したロボットを追いかける際、コイツのそばに置いて行ったからだ。追いかけるのに邪魔だったから。
…置いていくならもう少し場所を選べと、己の浅慮さに呆れる。
「…持って来いと頼んじゃいないぞ」
「ケガ人の手当てと避難が終わったから、追いかけてきたのよ」
「…フン」
バリアードスピアを折りたたみ、バトルフォームを解除する。
小さくたたまれたバリアードスピアを腰につけ、俺は荷物を受け取る。
「面倒な事になる前に、俺は引き上げるぜ。ロボットポリスには、お前からテキトーに話ししておけ。じゃあな」
「待ってよ」
「あぁ?」
その場を立ち去ろうとした俺を引き止めて、そいつは1言。
「あなたがどこの誰で、どういう人なのかなんて今の私には関係ないわ。でもコレだけは言わせて」
「?」
「助けてくれて、ありがとう―――」
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